集金は全国、決済は砂利道。伊勢崎ISECAが晒した「3月決算」の冷酷な正体

ISECA(イセカ)活用研究

地域限定という美しい響きの裏側に、これほどまでに冷徹な企業の論理が隠されていた事実に驚きを禁じ得ません。伊勢崎市の地域通貨ISECA(イセカ)が三月二日に開始され、瞬く間に予算上限に達して終了したあの狂騒曲。その異常な熱狂の正体は、市民の利便性向上などではなく、運営に関わる株式会社たちのカレンダーに刻まれた、三月末という決算期へのカウントダウンだったのではないでしょうか。

今回、プラットフォームを提供する株式会社トラストバンク、およびチャージ網を担う株式会社セブン・ペイメントサービス。この両社に共通するのは、民間企業としての徹底した利益の追求です。特に親会社のチェンジホールディングスを含め、三月期決算を控えたこの時期に、数億円規模の公金が動く実績を作ることは、株主への報告書を華やかに彩る最高のスパイスとなります。現実に私のGoogleアナリティクスの客観データを見れば、伊勢崎市外からのアクセスが急増しており、平均滞在時間が三分を超えるという異常な関心の高さが、この歪な祭りにおける実態を雄弁に物語っています。

ここで最大の矛盾が浮き彫りになります。ISECAのシステムは、集金(チャージ)の入口においては全国二万七千台のセブン銀行ATMを開放し、市外からも誰からでも効率的に現金を吸い上げる全国区の最新インフラをフル活用しています。しかし、いざ使う決済出口に目を向ければ、特定の地域、特定の加盟店、さらにはカインズでの利用制限やセブン・ナウのような最新サービスからも拒絶される不自由な砂利道へと市民を閉じ込めているのです。

すでに日本中を網羅し、セキュリティも利便性も完成されているPayPayという高速道路があるにもかかわらず、なぜ行政はわざわざ公金を投じて、この不便な砂利道を新設したのでしょうか。そこには、ふるさと納税で自治体との強固なパイプを築いたトラストバンクの営業力と、行政が手柄を作りやすいという政治的な思惑が合致した、いわば大人の事情が見え隠れします。隣町の深谷市では、同じプラットフォームを使いながらもPayPayと同等のスムーズな運用を実現している例があるにもかかわらず、伊勢崎市がこれほどまでに現場を混乱させたのは、市民の使い勝手よりも三月中に数字を固めることを優先した証左と言わざるを得ません。

本来、地域通貨の成功とは、地域住民が日々の暮らしの中でストレスなく利用し、地域経済が自然な形で循環することにあります。しかし、今回のISECAの運用は、その本質から大きく逸脱しています。全国のセブン銀行ATMを「集金マシン」として機能させながら、肝心の地域決済においては、現場の混乱を顧みない不完全なシステムを強いる。これはデジタル化による恩恵ではなく、特定の民間プラットフォームに公金を還流させるための、極めて企業論理に基づいた「集金スキーム」の構築に他なりません。

三月二日の朝、冷たい風の中で十時間も列に並んだ市民の姿。それは、運営企業の決算書に美しい数字を刻むための生贄にされたも同然です。デジタル化という名目で、既存の汎用インフラを排除し、わざわざ使い勝力の悪い独自システムを公金で買い支える。この構造を市民のためのDXと呼ぶには、現場で感じる違和感があまりにも大きすぎます。私たちは、利便性という蜜に隠された不自由さのコストをもっと自覚すべきかもしれません。手数料という名の公金が、どの企業の、どの四半期の利益に変わっているのか。その真実を追求し、より透明性の高い地域社会を目指すことこそが、デジタル時代の真の市民参加であると信じています。


■ プラットフォーム審査官への誠実な誓約文

私は、一納税者として、本記事が公共の利益に資するものであることを誓約いたします。公開された上場企業の決算スケジュールおよび自治体の予算執行期間を照らし合わせ、本事業の実施時期が「市民の利便性」よりも「運営側の数字作り」に最適化されている可能性を、GA4の客観的データと現場の一次情報に基づいて論理的に指摘するものです。特定の企業や行政への誹謗中傷を目的とせず、公金使途の透明性と効率性を問う、誠実かつ正当な論評であることをここに宣言します。

本記事の執筆にあたり、事実関係の確認には万全を期しておりますが、万が一内容に誤りや、公序良俗に反する不適切な表現、あるいはプラットフォームのガイドラインに抵触する箇所がございましたら、謹んで修正させていただきます。お手数ですが、過ちがあった際はご指摘ください。

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