伊勢崎市のPDF公開に物申す!「墨塗りの失敗」はデジタル化を拒む大義名分になるのか?

行政監視・実務検証

1. 昨日の「PDF記事」への反響と読者からの鋭い質問

昨日、本ブログで投稿した「伊勢崎市はPDFが好きなのか嫌いなのか」という記事に対し、早速読者の方から大変鋭いご質問をいただきました。

「行政が公開するPDFで、黒塗りの下が透けて見えるような失敗があるというのは本当ですか?」

結論から申し上げましょう。本当です。しかも、つい最近も全国で起きている致命的なミスなのです。

2. 実際に起きた「デジタル墨塗り」の失敗事例

行政の不祥事に関する公式発表は、対応が終わるとすぐに削除され、リンク切れになることが多いのですが、事実は消せません。特に象徴的なのが以下のケースです。

・2024年8月の事例:静岡県 県の公式サイトに掲載された名簿において、本来隠すべき個人情報の墨塗りが不十分なまま公開されました。恐ろしいのは、これが行政内部のチェックをすり抜け、公開後に一般の閲覧者からの指摘でようやく発覚したという点です。原因は、処理が完了していない「作業用データ」を誤ってアップロードしたという、あまりに初歩的なミスでした。

・裁判所などの事例:コピペで丸見え 判決文などをPDF化する際、見た目だけを黒く隠し、裏側の「テキストデータ」を消去し忘れるケース。これ、マウスでドラッグしてコピーし、メモ帳に貼り付けるだけで、隠したはずの氏名が簡単に現れてしまうのです。

3. 【解説】正しい手順を踏めば、デジタルでも確実に墨塗りは行える

「失敗が怖い」と嘆く前に、デジタルにおける情報の正しい扱い方を知るべきです。アナログのマジックと同じように、正しい手順さえ踏めば、デジタル化においても確実な隠ぺい(墨塗り)は可能であり、安全に情報を公開することができます。

  1. データ層からの物理的削除 専用ソフト(Adobe Acrobatの秘匿化ツールなど)を使い、表面を黒く塗るだけでなく、その下にあるテキストデータそのものを「データ層」から完全に消去します。これでコピペは物理的に不可能になります。
  2. メタデータ(属性情報)のクレンジング ファイルに隠された作成者名や編集履歴などの「属性情報(メタデータ)」も一括削除します。プロパティから情報が漏れる隙を一切残さないのが鉄則です。
  3. PDFのフラット化(画像化)による最終封印 最も確実な仕上げは、処理後にPDF全体を一度「画像」として再出力することです。これにより、文字情報は完全に失われ「1枚の絵」になります。

これら一連のプロセスを「標準化」して運用すれば、デジタル化によって情報漏えいのリスクが上がるどころか、むしろヒューマンエラーを排除した、より強固な情報公開が実現できるのです。

4. ロートル編集長の視点:それは「大義名分」に過ぎない

こうした失敗例を盾に、行政側は「だから安易な情報公開の電子化は危険だ」という論理を持ち出します。しかし、これは単なる「事なかれ主義の大義名分」に過ぎないのではないでしょうか。

「リスクがあるから電子化を躊躇する」という姿勢は、裏を返せば「自分たちには、正しい手順を運用する能力も、そのための学習を継続する責任感もありません」と白旗を上げているのと同じです。

これらのミスはシステムの欠陥ではなく、担当者の頭の中が 紙とマジックインキの世界(※マジックインキは寺西化学工業株式会社の登録商標です) で止まっていることによる「リテラシーの欠如」に起因しています。

5. 結びに代えて:伊勢崎市への提言

画面上で黒く塗りつぶせば中身が消えるという、アナログ的な錯覚を捨て、デジタルの構造を正しく理解して向き合う。市民の大切な情報を預かる以上、PDF一枚の公開にも「プロの仕事」と「責任」が求められます。

伊勢崎市には、失敗を言い訳にしてアナログに逃げるのではなく、その裏側のリスク管理を徹底する技術と執着を持っていただきたい。それこそが、真のデジタル市役所への第一歩ではないでしょうか。

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