伊勢崎市はPDFが大好きなの?大嫌いなの?情報公開にみるデジタル化の二面性

行政監視・実務検証

伊勢崎市のホームページを眺めていると、至る所にPDFが並んでいます。デジタル地域通貨「ISECA(イセカ)」の加盟店名簿から各種計画書まで、役所側はPDFを多用し、いかにもデジタル化が進んでいるような「大好き」な顔を見せています。しかし、市民が情報公開制度を利用して資料を請求した途端、その表情は一変します。「電子メールによる請求はできません」「紙のコピー代を払ってください」という、デジタル「大嫌い」な拒絶が待っているのです。

伊勢崎市の溢れんばかりの「PDF愛」一覧

伊勢崎市の公式サイトを覗けば、そこには驚くほど大量のPDFファイルが整然と並んでいます。これらはすべて、市が税金を投じて外部委託業者に作らせ、公開しているものです。

・デジタル地域通貨「ISECA(イセカ)」関連:加盟店一覧、利用規約、特設サイトの各種案内

・広報、PR資料:「広報いせさき」バックナンバー、市勢要覧、観光パンフレット

・各種計画書、統計:総合計画、都市計画、予算、決算書、統計いせさき、事務事業評価シート

これだけ多種多様な情報を積極的に「ダウンロードして活用してください」と並べているのです。つまり、伊勢崎市はPDFの利便性も、情報がデジタルで届くスピード感も、十分に熟知している「PDF大好き」な自治体であるはずなのです。

外部委託が生む「上辺だけのデジタル化」

しかし、これらのPDFはすべて、外部業者に委託して作成、掲載されています。市の予算書にはホームページの保守管理委託料が計上されており、市民の税金を使って「公開用のデジタルデータ」を業者に作らせているのが実態です。つまり、公式ウェブサイトという「表舞台」では、最新のPDFを使いこなすデジタル推進派を装っています。

「なんぴとも(何人も)」を拒む伊勢崎市の利害関係という壁

ここで最大の問題は、情報公開の対象者に対する伊勢崎市の考え方です。本来、国の情報公開法やガイドラインでは、情報の開示を求める権利は「なんぴとも(何人も)」認められています。居住地や理由を問わず、誰もが等しく行政文書にアクセスできるのが民主主義の基本です。

ところが、伊勢崎市の規定を紐解くと、情報公開の範囲を「市内に住所を有する者」や「市内に事務所を有する個人、法人」、さらには「市が行う事務事業に利害関係を有するもの」といった、限定的な歌い方で縛っています。

「利害関係があるかどうか」を役所側が判断するというこの姿勢は、実質的に部外者は口を出すなという強力な門前払いです。国が「なんぴとも」と広げた門戸を、伊勢崎市は独自のフィルターで狭め、市民や外部からの正当なチェックを逃れようとしている。これこそが、伊勢崎市が抱える閉鎖性の正体ではないでしょうか。

不祥事を盾にしたマジックインキへの執着

役所がデジタル送付を拒む最大の口実は個人情報保護です。いまだに「紙に印刷してマジックインキで塗り、それをさらにコピーする」という物理的な工程を墨守しています。

しかし、現代の技術において、デジタル墨塗りは完全に安全に実行可能です。Adobe Acrobat Pro等の専門ツールにある「秘匿情報の消去」機能を使えば、データ自体を物理的に消去し、復元不可能な状態にできます。つまり、伊勢崎市が「できない」と言い張るのは技術の問題ではなく、安全なツールを導入、運用する「知識と意欲」の欠如に他なりません。

動かぬ証拠:周辺都市との決定的な格差

主要自治体の対応を比較すれば、伊勢崎市の孤立は明らかです。

自治体電子メールでの請求電子メールでの交付備考
群馬県可能可能(無償)メール送付は無料と明記
前橋市可能可能電子申請システム完備
太田市可能可能メール送信により行うと明記
高崎市可能可能CD-R等のデジタル交付も対応
伊勢崎市不可原則不可メール請求不可、利害関係を明記

結論:本当のDXは市民の手元に届くところから

西の高崎、県都の前橋、東の太田。周辺都市が国のガイドラインに沿って「なんぴとも」に開かれたデジタル開示を実現している中で、伊勢崎市だけが利害関係という言葉で権利を制限し、メール請求不可という看板を掲げ、マジックインキを握りしめています。

外部委託したPDFを並べて「デジタル大好き」を演じる予算があるのなら、まずはそのコピー機のボタンを止め、国の指針通り、すべての「なんぴとも」に対して誠実に向き合う「本当のデジタル化」に舵を切るべきではないでしょうか。

本記事は、独自の現場視点と公的データに基づき、公共の利益に資する誠実な分析であることをここに記します。

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