ISECAは飛騨高山に学べ。デジタル地域通貨の成功を分けるのは「管理」ではなく「解放」だ

伊勢崎市民の皆さん、ISECA(イセカ)を使っていて「これ、逆に手間じゃないか?」と感じたことはありませんか? 現在連載中の「カインズ×Amazon比較」でも触れましたが、どんなにポイント還元率が高くても、使い勝手が悪ければそれは便利な道具とは言えません。
実は、日本には「デジタル地域通貨の聖地」と呼ばれる場所があります。岐阜県飛騨市の「さるぼぼコイン」です。 なぜ、人口約2万人の街で大成功している仕組みが、人口20万人の伊勢崎市でこれほどまでに「重い」のか。そこには、行政のデジタル化に対する致命的な「勘違い」がありました。
【1】「店員さんにスマホを託す」デジタル決済の末路

先日、実際にカインズのレジでISECAを使った際、私は思わず苦笑してしまいました。 本来、支払いをスムーズにするためのアプリのはずが、あまりの工程の多さに、結局はレジの店員さんにスマホを差し出し、代わりに操作してもらうことになったのです。
アプリを立ち上げ、店頭のQRコードを読み込み、自分でレジの金額を手入力し、店員さんに画面を覗き込んでもらって確認を取り、ようやくスワイプして確定。
後ろにレジ待ちの列ができているプレッシャーの中、この煩雑なプロセスをこなすのはもはや苦行です。店員さんも慣れた手つきで私のスマホを操作してくれましたが、その光景は「デジタル」とは程遠い、まるで「決済の介護」のような状態でした。
店員さんの手を煩わせ、客がスマホを他人に預けさせる。これが伊勢崎市の目指した「スマートな未来」なのでしょうか?
【2】「誰でも使える」飛騨 vs 「管理したい」伊勢崎
対照的なのが、飛騨市の「さるぼぼコイン」です。 この通貨の最大の特徴は、「誰でも、その場で、すぐ使える」オープンさにあります。観光客でもアプリを落とせば1分でチャージして決済できる。この軽快さが街の経済を回しています。
一方のISECAはどうでしょうか。 市民限定、事前の煩雑な登録、役所窓口での対応を前提としたような設計。 伊勢崎のデジタル化は、常に「いかにミスなく管理するか」が目的になっていませんか? 使う側の「手軽さ」や、現場の店員の「忙しさ」が完全に置き去りにされているのです。
【3】デジタル化の本質は「解放」にある
デジタル化とは、人間を面倒な手続きから「解放」するためにあるはずです。 しかし、今のISECAは「新しいデジタルな手続き」を市民と店員に強いているだけ。スマホを持たされただけで、中身は昭和の「台帳管理」から一歩も進んでいないように見えます。
飛騨高山から学ぶべきは、アプリのデザインではありません。「いかに市民と店主の邪魔をしないか」という哲学です。
伊勢崎市役所がISECAを本気で成功させたいなら、今の閉鎖的な管理システムを即刻見直すべきです。 「伊勢崎市民だけの財布」という内向きな考えを捨て、誰もが、それこそ「カインズのレジで店員さんにスマホを預けなくて済む」ほど直感的に使える仕組みへ。
次回の記事では、この「使い勝手の悪さ」を放置したまま突き進むと、将来どんな「税金の無駄遣い」に繋がるのか。全国の失敗事例から、ISECAの未来を予測します。

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